エム。シィオー。 坪井祐樹 ボーイズラブ文庫


あくまで冷静な長谷川。

憲貞と与兵衛が抱き合う姿を、遠くから見つめる者がいた。「ぐはっっ!」。「素晴らしい。退屈な残りの時間をどうしたらいいか悩んでたのに」。サイドテーブルに用意しておいたクリームを探り、中指と人差し指に掬《すく》って篝の蕾に塗り込むようにしながら指を沈める。そこには履き慣れたスニーカーが一組。「そ、そーするっ!」。

「ありません」。『もしかして今、すごく呆れただろう。「違うってっ!俺の気持ちを察しろっ!そのままの意味で受け取るなっ!」。どちらも手強い。歩は泣いていいのか笑っていいのかわからない表情で、ボーッとしている渡を上目遣いに見つめる。「……そうか……」。由貴がスプーンを取ってカレーを口に運ぶのを、一城はじっと見ていた。

「そう……だけど、でも」。「どうしてですか?」。やっぱりそれも生々しい。すらりとした長身の紫織は、優雅な動作で彼らに近づいた。

「な、な、な、何をしたんだっ!何を言ってるんだっ!ここは学校だぞっ!この大バカモノがっ!」。車内からホームへと押し流されていく人の波。スーツの上着は脱いでいる。荒々しいプレイが好きなのか、それとも照れを誤魔化すために、わざと荒々しく振る舞っているのだろうか。強情で、生真面目で、教師の静秀に敬語を使わない。「あ、そうだ、もう一つ。きょう、僕が座った席、きみが久二郎さんに頼んでくれたんだって?ありがとう。きみの投げる姿がよく見えて、試合のあいだ中、僕はずっと興奮してたよ」。だが、側にいればどうしても、この自分勝手な貴公子のことを、もっともっと知りたくなる。

赤くなっているのは、プールの水のせいだけではないということなのだろうか。頬はぴりぴりとした感じだ。


ボーイズラブ小説作品紹介


16歳の衣緒は、可愛いのに人間不信で、つけられた家庭教師を次々やめさせていた。そんなある日、衣緒は強面の弁護士・可知と出会う。反発を覚える衣緒だが、彼が次の家庭教師だと知って!? ※ イラストは含まれていません。

タイトル:子猫の教育
著 者 名:神香うらら
レーベル:講談社X文庫、 ホワイトハート
発 行 元:フロンティアワークス

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